chigiri vol.192 株式会社ウィズ 代表取締役 松井 伸悟さん

chigiri vol.192 株式会社ウィズ 代表取締役 松井 伸悟さん
Chigiri vol.192

パンを選ぶ時間は、きっと幸せなひととき。
ベーカリーショパンが届ける「みんなの幸せづくり」

株式会社ウィズ 代表取締役 松井 伸悟さん

 日本の一般家庭では、パンへの年間支出額がコメを上回った—。総務省の家計調査が示したこの結果は、日本の食文化の変化を象徴する出来事として話題になった。食事としてのパンだけでなく、菓子パンや惣菜パン、ベーカリーの焼きたてパンなど、メーカーや凄腕の職人たちがこだわりのパンを提供することで、その楽しみ方は年々広がっている。店先には色とりどりのパンが並び、味わう楽しさはもちろん、眺めているだけでも心が弾む。いまやベーカリーは、地域の暮らしの中で日常に小さな幸せを届ける場所になっている。

 そのパンの魅力を東三河から発信しているのが『ベーカリーショパン』だ。豊橋、蒲郡、浜松に店舗を展開し、地域の人々に親しまれる郊外型ベーカリーである。焼きたて・出来たて・揚げたての“3たて”にこだわり、店内で仕込みから焼き上げまでを行うスクラッチ製法を採用。常時80種類以上、季節商品を含めれば100種類近いパンが店内に並ぶ。店を訪れる人は、豊富な種類のパンを前に自然と足を止め、どれにしようかと楽しそうに選んでいく。

 「ショパンの前身は、母が一人で始めた衣料品店なんです。開業した頃はお金もなくて、居抜きの店舗についていた看板をそのまま使わせていただいたんです。店の名前は『玉屋』。そこから始まったんですよ(笑)。」

 松井さんが事業を承継してからは婦人服店として事業を拡大。地域一番店を目指し、品揃えや店づくりにも注力した。しかし、時代の流れとともにアパレル市場は長い下り坂へと向かう。宝石販売や貴金属の買い取り、健康器具の販売、通販事業など、様々な周辺事業に挑戦するも振るわず。試行錯誤を重ねる中でたどり着いた答えは、「自分たちで商品を生み出すこと」だった。

 転機になったのは、経営の勉強会での出会いでした。そこで製パン機器卸の社長と知り合い、ベーカリー事業を勧められたんです。利益を生み出す事業でなければ、立派な経営も達成できないよって言われて…。突き動かされましたね、よし!やってやろうって(笑)」。それからは全国の繁盛店を見て回り、パンづくりの技術も社員と一から学んだという松井さん。構想から3年、第一号店となるベーカリーショップショパン三ノ輪店が誕生した。

 ショパンの特徴は徹底した手づくりへのこだわりだ。生地はもちろん、カスタードやカレーなどの具材から、タルタルソース、明太子ソースに至るまでオリジナルのレシピで仕込む。その独自性は看板商品の食パン「もちもちショパン」や「塩バターロール」、カレーパングランプリで最高金賞を受賞したカレーパンなどの人気商品を生み出しており、素材や製法に工夫を重ねたパンの数々は、訪れる人を楽しませている。

 パンを買うときのお客様の顔って、本当に楽しそうなんですよ。どれにしようか悩んでいる時間も、きっと幸せな時間なんだと思います」。パンを通して人を笑顔にする——。焼きたての香りとともに、松井さんのその想いがまちへと広がっていく。

店内

店内



パンを通して、人を幸せにしたい。
ショパンのパンづくりと店づくり。


———クラシック音楽を材料に聞かせ、こだわり抜いた食材と独自の製法でパンをつくり出す『ベーカリーショパン』。松井さん独自の哲学から生まれた「お客様をがっかりさせないための店づくり」は、パンを通して人々を笑顔にしたいから——。
その想いの先にある「みんなの幸せづくり」について聞いた。

 

静かなこだわり

 店の名前を『ショパン』にしたのは、クラシック音楽が好きだったからなんです。ショパンって、どこか上品で優雅なイメージがあるでしょう?お店もそんな品のある店にしたいと思って(笑)。

 だからというわけではありませんが、うちではクラシック音楽をパンづくりに使っています。夜、店を閉めた後、生地や材料など全ての材料にクラシックを聞かせています。パンづくりは発酵がとても大事。酵母や生地はとても繊細なので、落ち着いた環境で育てたい。音の振動が発酵や酵母に影響するという話もありますし、夜の静かな店内でクラシックを流し、生地や材料を休ませています。

美味しさの秘密

 パンの美味しさにはいろいろあると思いますが、私は「口溶けの良さ」が一番重要だと思っています。口に入れたときにパサつかず、スッとなくなるからムシャムシャ食べられる。「もうちょっと食べたい」と思わせる、そこが狙いなんです。

そのためには素材も大切。小麦粉もそうですし、バターや具材なども含めて、できるだけ良いものを使うようにしています。シンプルな食べ物なので、素材の違いがそのまま味に出るんですよ。だから素材にはとことんこだわっています。

ショパンの店づくり

 私たちの仕事は、お客様の不の解消業(問題解決業)でもあると思っています。お客様がどんな時に“がっかり”するのかを考え、常にアンテナを張る。中でも品切れには特に気を配っています。せっかくご来店いただいても、並んでいるパンが少なくては申し訳ない。食品ロスにも配慮しながら、社員には可能な限り夕方遅くまでパンを焼いてもらっています。いつ行ってもたくさんパンが揃っているって嬉しいですもんね。

パンでみんなを幸せにしたい

 ショパンの理念は「みんなの幸せづくり」。パンで幸せづくりのお手伝いをしたいと思っています。パンを選ぶ時間はワクワク、どれにしようかなって迷いながら選ぶ。その時間も含めてパン屋の楽しさだと思っています。パンそのものだけじゃなく、お客様の笑顔や幸せな時間をつくるのが、私たちの仕事です。また、パンを買って帰ったお客様が、家族や友達と食べたり、誰かに差し入れしたり。幸せの輪がどんどん広がっていく。それを実感できる瞬間が、私たちにとって一番の喜びです。

 これからも努力は惜しみません。今以上に素材にこだわり、美味しさを追求することで、お客様と従業員、そして地域の幸せづくりに寄与して参ります。



ショパン ロゴ

ショパン 三ノ輪本店

三ノ輪本店
豊橋市三ノ輪町本興寺23-5
TEL:0532-35-9435
▶︎ショパン公式HP

豊橋西店

豊橋西店
豊橋市川崎町243
TEL:0532-43-5743

蒲郡店

蒲郡店
蒲郡市三谷北通1-71
TEL:0533-95-8818

浜松泉店

浜松泉店
浜松市中央区泉3丁目26-14
TEL:053-543-5533

佐鳴台店

佐鳴台店
浜松市中央区佐鳴台5丁目29‐9
TEL:053-488-4980


まつい・しんご さん プロフィール
1956年、豊橋生まれ。豊橋中部中学、豊橋商業高校出身。卒業後は、名古屋の繊維業者へ丁稚奉公へ。1981年、家業の衣料品店へ就職。30代前半で事業を父親から承継。1986年、株式会社ウィズ設立。衣料品店を専門化して多店舗展開。様々なチャレンジと失敗を繰り返し、ベーカリー事業へ参入。2013年、ベーカリーショパン三ノ輪本店をオープン。以降、2016年から2023年にかけて、豊橋、浜松、蒲郡にベーカリーショパンを出店。2023年、アパレル部門を事業譲渡。現在はベーカリー事業に集中し、美味しさを追求しながら新たなチャレンジを進行中。