全中卓球男子個人の部準V 「世界と勝負したい」ブレずに進化 来月、ルーマニア世界ユース選手権へ
5年前「世界の頂き目指し一歩ずつ」の見出しで当時9歳の卓球少年を紹介した。ブレることなく進化を続け、今、ジュニア世代で最も勢いのある実力派プレーヤーとして世界と対峙している。豊橋市出身で、神奈川の星槎中学に通う小林右京君(2年)が、北九州市で開かれた夏の全国中学校卓球大会(全中)男子個人の部で準優勝を飾った。木下卓球アカデミーで技術を磨き、何度も国際舞台を経験。11月23~30日は日本代表としてルーマニアで開催される世界ユース選手権への出場が決まっている。日の丸の誇りと重圧をエネルギーに、まだ見ぬ景色を追い求める。
木下卓球アカデミー小林右京君(豊橋出身)
先の全中卓球。小林君は準々決勝で明徳義塾(高知)の栁本選手、準決勝で城南(石川)の平塚選手をストレートで破り、決勝は大野颯真選手(星槎中/木下アカデミー)との同門対決。第1セットを奪われて守勢に回ると、以降もミスが出て流れを引き寄せられなかった。頂点には立てなかったが「変幻自在のプレーでカットマンを攻略し、攻撃の引き出しも多かった」と関係者の評価は高い。
木下卓球アカデミーは、Tリーグ・木下アビエル神奈川と木下マイスター東京の下部組織として、国際舞台で活躍できる選手の育成と強化を目的に開設。小林君が所属するトップアスリートコース男子は中高生8人で、集団生活を送りながらそれぞれのカテゴリーで戦績を積み上げている。

全中準優勝で銀メダルを獲得(提供:卓球レポート/バタフライ)
原点は両親の教室
小林君の原点は両親が主宰する卓球教室「ピンテック」(野依町)。幼少期から自宅隣りの教室が遊び場で、本格的にラケットを握ったのは3歳のとき。父親の哲平さんは桜丘高時代に全国選抜大会で優勝。明治大でも全日本選手権などで活躍し、母親の佳子さんは全日本ジュニア3位。さらに祖父母や叔父、叔母らも輝かしいキャリアを持つ。卓球ファミリーのDNAを受け継ぐサラブレッドは掛け算のような早さで頭角を現すと、小学2年でナショナルチームのメンバーに選出され、卓球大国・中国遠征に参加した。
数々の実績が認められ、アカデミーからスカウトを受けたのは小学6年のとき。新年度の4月に野依小から神奈川県の学校に転向し「広い視野で国際競争力を養いたい」と親元を離れ、新たな環境で”武者修行”に入った。
共同生活で心技成長
戦型は右シェーク攻撃型。小学時代はフットワークや勝負勘、空間適応力といった持って生まれた卓球IQを生命線としてきたが、アカデミーではスタミナ強化に主眼を置く基礎基本を重視。人間形成に直結する芯の部分を徹底的に鍛え、心技両面で強度を上げてきた。両親の元で吸収した”巧さ”と、タイプの違う選手との反復練習で身につけた”タフさ”が融合し、両輪が備わったことで進化のスピードが増した。特にフィジカルとフォアの質、展開を読む洞察力が格段に上がった。
共同生活を送る”ブリスベン世代”の中に身を置き、自立心とともにメンタルの操縦力も上がった。試合のたびに立ち位置が変わり、練習相手は格上も多い。アスリートとしての反骨心も芽生えた。とは言ってもまだ多感な13歳の少年だ。失敗すれば顔に出るし、楽しいことがあれば無邪気に笑う。ONとOFFの切り替えがうまく、修正に長けた”賢さ”も強みの1つだ。帰省は夏の総体後と年末年始の年2回。懐かしい教室の空気に触れて鋭気を養い、再び主戦場へ戻っていく。
来月末開催の世界ユース選手権には各国の世代トップ選手が集結する。小林君は国別対抗の団体戦に出場予定。日本代表メンバーとして臨む以上、勝利を至上命題とするが、現在地を確認する絶好の機会でもある。
卓球界のレジェンド松下浩二・雄二兄弟を輩出した豊橋から、再び世界の頂きを目指す超新星が育っている。
主な戦績
【国内】
〈2022年度〉
・HNT(ホープスナショナルチーム)U12選手
・全日本選手権ホープス7位
・全日本選手権カデットシングルス8位
〈2023年度〉
・HNT(ホープスナショナルチーム)U12選手
・東アジアホープス男子団体3位
・全日本選手権ホープス5位
・全日本選手権ジュニア男子ベスト32
〈2024年度〉
・全国中学校大会男子団体優勝
・全日本選手権カデット男子ダブルス優勝
・全日本選手権カデット13歳以下
シングルス6位
・全日本選手権ジュニア男子ベスト32
・大阪国際招待選手権カデット男子優勝
〈2025年度〉
・JNT(ジュニアナショナルチーム)U15選手
・全国中学校大会男子個人準優勝
【国際】
〈2022年度〉
・東アジアホープス日本代表
〈2023年度〉
・WTTユースコンテンダー香港U13
男子シングルスベスト4
・東アジアホープス団体3位
〈2025年度〉
・WTTユースコンテンダーヘルシンボリU15
男子シングルス優勝
・WTTユースコンテンダーヘルシンボリU15
混合ダブルス準優勝
・WTTユースコンテンダーサンネフヨルU17
男子シングルス準優勝
・WTTユースコンテンダーサンネフヨルU15
男子シングルス優勝
・アジアユース選手権U15男子団体3位
・アジアユース選手権U15男子シングルス
ベスト16
・WTTユースコンテンダースコピエU15
男子ダブルス3位