「あの敗戦があったから」と言える夏に涙から笑顔へ新たな扉を
先の全国高校選抜大会団体戦(学校対抗)で2年連続3位入賞を飾った桜丘高校卓球部女子(野木森孝充監督)。少数精鋭で伝統の強さを見せたが、選手たちに笑顔はない。「前回の雪辱を晴らして、四天王寺の10連覇を阻止したかった」と唇をかむ。丸添美咲主将、田旻一選手とともにチームをけん引するエースの山室早矢さん(3年)は「夏の総体で忘れ物を取り戻す」と意気込む。選抜大会を振り返るとともに、チーム状態やインターハイへの意気込みなどを聞いた。
桜丘高卓球部女子(3年)山室早矢さん
必勝パターン崩れ無念の逆転負け
選抜大会は先月、岡山県で開催され、チーム戦の学校対抗には男女各56校が出場。桜丘女子は2戦全勝で予選を通過し、決勝トーナメントで岩倉商業、準々決勝で明徳義塾を下して2年連続のベスト4進出。日本一が視界に入った。
「予選までは順調だったが、決勝トーナメントの岩国商業戦で3番ダブルス(丸添美咲・山室早矢)を落としてから、勝利の歯車がズレてしまった。3番Wはチームの常勝条件。入りのシングルス戦で勢いに乗ればダブルスで決めにかかり、反対に序盤守勢に回っても”中堅”で潮目を変える自信があった。戦績上では優位な立場だったのに取りこぼしが続き、私たちが勝利図式を崩してしまった」
準決勝の横浜隼人戦。1、2番を取って王手をかけたが、3番以降は星が伸びず無念の逆転負け。
「打倒四天王寺を掲げ、戦略を練って臨んだが、その手前で足下をすくわれた。敗れた瞬間は頭の中が真っ白で何が起こったのか整理がつかなかった。監督にも言われましたが、敗因は勝負どころで1本を勝ち切れないメンタルの甘さや弱さだったと思います」
選抜後、モチベーションを上げるのにも苦労した。
「大会が終わって3日間ほど食事がノドを通らず、自分の卓球は通用しないんじゃないかと、どん底まで落ち込みました。でも、選抜直後に大会会場の岡山県であった強化合宿で気持ちを切り替えることができた。個人ランキング上位16人が召集され、3日間にわたる試合形式の対戦で総合3位に入ったんです。士気が上がらず、敗戦の傷がまだ癒えていない中で勝つことができ、自分を取り戻す事ができました」
インターハイ狙うは3冠
熊本県出身。中学時代から全国を主戦場としてきたが、世代のトップ選手ではなかった。
「中学3年時は全日本ジュニアのシングルスベスト8、全中もベスト32と特筆する成績は残せなかった。高校に入って勝つための卓球を皮膚感覚で学び、練習の量も質も上がって戦術の引き出しが増えたと思います。昨年のインターハイと全日本選手権ジュニアの3位(ともにシングルス)で殻を1つ破ることができました」
緩急を使った変則法で相手をかく乱するカットマン。2023年からTリーグ・九州アスティーダにも籍を置き、上のステージで戦ってきた。
「(Tリーガーは)技術はもちろん高校生とはオーラが違う。勝負への執念や競技への向き合い方も勉強になる。独特の緊張感と重圧の中で練習や試合に参加させてもらい、いかに自分をコントロールできるかが重要で、試合に臨むまでのプロセスが大事なんだと痛感しました」
『チーム桜』の集大成となるインターハイまで数カ月。やり残した宿題が残っている。
「団体戦、ダブルス、シングルスの3部門で頂点に立って、女子部の歴史を塗り替えたい。決して平坦な道のりではないと思いますが、自分を信じ、仲間を信じて有言実行あるのみ。『春の敗戦が意味のあるものだった』と、チームのみんなと笑って終わりたい。個人的には国民スポーツ大会や全日本選手権でも存在感を放ち、新たな未来図を描いていきたいですね」