次世代アスリート 風を切って沖縄の大地へ 全日本中学陸上 豊橋から5選手
「咲き誇れ!君の夢は九州(ここ)にある!」をスローガンに、九州ブロックで中学生の夏総体が開催される。全日本中学校陸上競技選手権大会(全中陸上)は今月17日から沖縄県総合運動公園陸上競技場で始まり、豊橋からはトラック種目に男女5選手が出場する。学校部活と並行して地元に練習拠点を置くJACT、糸陸、ライオンハートなどのクラブチームで走力を磨き、全国参加標準を突破した。「昨年のリベンジを」「ファイナル進出を目指す」「大舞台のレースを楽しみたい」。それぞれの思いを胸に"熱い夏"がはじまる。
前回の借り返し"表彰台"狙う
女子100mハードル加藤光桜さん(二川3年)
ケガで後ろ向きになる時期も何度かあったが、復帰後は各レースで結果を残す。今回もそう。県通信予選で14秒41をマークし、参加標準14秒60をクリア。2年連続で全中進出を決めた。だが、タイムとともにこだわる順位は決勝5位。「全国を決めても総体で東海を逃したら価値が下がってしまう」。その県総体は予選14秒10(組1着)、決勝は自己ベストの14秒07を叩き出して県チャンピオンについた。
昨年の全中は強い向かい風で組1着ながら14秒55で予選落ち。悔し涙を流す一方で「みんな同じ条件。強い選手は環境に関係なくきっちり13秒台にまとめてくる。精神面の弱さを感じたし、トップレベルの戦い方を教わったような気がします」と、すぐに前を向いた。
小学時代から輝かしい戦績を持つ。100mを専門に5年生で全国準優勝。6年時はケガの影響もあって東海3位に終わったが、卓越したスプリント力は当時から注目された。中学でハードルと向き合い、走幅跳でも記録を残すなど、スピードとボディバランスの良さは折紙付き。
試練のようにケガに悩まされ、克服するたびに心技両面でバージョンアップしてきた。昨年の全中以降、左太ももの肉離れで追い込み型の練習は回避。フォームの確認やインターバルの緩急、ハードリングの精度に時間を割いた。そして6月の東三河通信で大会新となる14秒49をマーク。”戻ってきた”を印象づけた。
全国ランキングは現在14位。全中に向け「いつも怪我と背中合わせだったけど、諦めなくて良かった。苦しいときに支えてくれた人たちへの恩返しのレースにしたい」と感謝を口にした後「13秒70台を出して表彰台に立ちたい」と闘志を燃やす。

加藤光桜さん
“掛け算”スピードで結果残す
女子100m諏訪部ももかさん(牟呂3年)
「遅咲き」とか「晩成型」とはちょっと違う。同年代の有望選手に比べて、もともとスタートラインに立つのが遅かった。芽を出すと雨後の筍のような成長度でタイムを塗り替えてきた。
女子100mの参加標準は12秒50。県通信の予選12秒34、県総体予選は12秒21といずれも切っている。だが「追い風参考」で公式に認められず、残すは総体決勝のみ。実力を示しながら瀬戸際まで追い詰められたが、同じ条件で逃してきたライバルたちと横一線で競い、12秒48で4位フィニッシュ。念願のチケットを手にした。「(決めた瞬間は)喜びよりほっとした安心感の方が大きかった。県大会で一応標準を3回切ったので、自信になりました」と笑顔をつくる。
小学1年から6年生まで硬式テニスを続け、陸上を始めたのは中学に入ってから。バランス感覚と柔軟性、脚力の強さは小学時代から立証済み。校内マラソンでは6年間トップを譲らなかった。入部当初から短距離走を選択。初の公式戦となる1年夏の総体は学年別100mに出場したが、市内でも入賞に届かなかった。悔しさを糧に「もっと強くなりたい」とクラブにも通うようになり、細かな足の運びやピッチの強度、中盤の加速走、そしてレースへの心構えなどを身体にたたきこんだ。
2年秋の市内新人戦で短距離2種目(100m、200m)と4×100mリレーで優勝し、躍進への起点をつくると、今年6月の県ジュニア記録会では12秒54を出し、全国の扉に手を掛けた。部活では女子部部長(主将)を務め、学級委員としてクラスをまとめるなど何事にも積極的で使命感が強い。
全中では「12秒20を切って決勝レースに残りたい」。足し算ではなく掛け算のような速さでいろんな景色を見てきた。照りつける太陽の下、沖縄の空はどんな色に染まるか。

諏訪部ももかさん

中盤からどんどん加速してトップに立つ諏訪部さん
全国舞台で”現在地”確かめたい
女子800m羽田野晴加さん羽田2年
県通信の予選で自己ベストの2分13秒99(参加標準2分16秒50)をマークし、早々と全国切符を手にした。それでも「決勝の2位が悔しくて、総体では絶対リベンジしたかった」。その言葉通り、3週間後の県総体では後半ギアを切り替えて2分14秒41で1位フィニッシュした。
力感のない伸びやかなストライドが持ち味。フォームが安定していて後半も回転数が落ちない。小学4年から基礎を学び、専門種目だった100mで5、6年と県大会出場。中学に入って800mに転向し、耐久強化で頭角を現わすと、短距離トレーニングで鍛えた走力に後半の粘りが加算され、走るたびにタイムはアップデート。昨年の夏総体は東海で2分22秒台をマークして6位入賞。期待の新生ランナーとして注目を集めるようになった。
気持ちで攻める先行逃げ切り型。レースを組み立てながら流れを読み、勝負どころで一気に仕掛ける。まだ2年生だが、全国ランキングで12位につけている。全中目標は「2分11秒台を出して決勝レース進出」。そして「大きな舞台で自分の力がどこまで通用するか試したい」と、その日を心待ちにしている。

後続を引き離して独走する羽田野さん=写真は7月12日、陸上競技場で行われた市内総体より

羽田野晴加さん
記録と記憶に残る”50秒切り”を
男子400m杉本來夢君青陵3年
力強いチャージ力と勝負強さでラストチャンスをものにした。県通信は53秒台に終わったが、県総体予選で51秒64を出してロックオン。決勝で自己ベストの51秒03をマークし、参加標準(51秒40)を突破した。
中盤の駆け引きや最後の仕掛けなど、まだ粗削りな部分はあるが、伸びしろが表面化するのはこれから。順応性が高く、学んだことを短期間で吸収する。中学入学時から100mを専門にスピードを磨き、昨秋の新人戦から400mにエントリー。東三河4位と目立つ存在ではなかったが、冬場の走り込みで根っことなるスタミナが強化され、自身の記録を塗り替えながらポテンシャルを上げてきた。
部活とクラブで課題を1つ1つ潰し、長所を伸ばして理想形の走りに近づいてきた。ストロングポイントは勝負どころで結果を残すメンタルの強さだ。全中では「代表として出るからにはファイナル進出を目指す。狙うは東三河の中学生で2人目の50秒切り」と闘志を燃やす。

杉本來夢君
サッカーとの”二刀流”で結果残す
男子800m牧野壮良君青陵3年
県総体の予選で自己ベストの1分58秒87を叩き出して参加標準(1分59秒50)を突破した。前半から加速度を上げてトップに立つと、後続をみるみる離して組1着フィニッシュ。「通信では決められなかったが、手応えはあった。(県総体までの)3週間で心身のコンディションを整え、設定通りのレースができた」。決勝は2分01秒72で3位だった。
身体能力が高く、バネの効いたキレのある走りが特長。小学3年から陸上を始め、6年時は市町村対抗駅伝の代表に選出された。中学入学後は1500mを専門に基礎体力を蓄えた。3年春から800mにシフトチェンジし、結果を残している。中学ではサッカー部に所属。フィジカルの強いストライカーとして活躍し、陸上と同時期に行われた夏季総体では東三河大会優勝に貢献した。
全中目標は1分56秒台を出してファイナルに残ること。「県総体のときのような走りが出来れば結果は付いてくると思う」と自身に言い聞かせる。

牧野壮良君