市民スポーツの舵取り役 すそ野広げてソフトの魅力発信

 豊橋ソフトボール協会の新会長に、前理事長の工藤澄子さん=北岩田=が就任した▶︎戦後復興の希望として1950(昭和25)年に創立し、地域交流や明日への活力源として幅広い年代に親しまれてきた市民スポーツの代名詞。会員数1300人を誇るマンモス団体だが、時代の変化に取り巻く環境も変わってきた。組織強化とともに1丁目1番に挙げるのは競技人口の拡大▶︎チーム数減少に歯止めをかけ、ジュニア世代の育成にどう取り組むか。様々な角度からボールを追ってきた女性会長の手腕に期待がかかる。

豊橋ソフトボール協会 工藤澄子新会長に聞く

豊橋ソフトボール協会新会長に就任した工藤澄子さん

豊橋ソフトボール協会新会長に就任した工藤澄子さん

 ー協会は役員をはじめ総務、審判、記録など各委員会が大会運営にあたり、支える側の組織がしっかりしている。

 工藤 各委員会ごとにミーティングや勉強会を開き、自覚と責任感を持って各種大会を円滑に運営してくれている。選手兼任の人もいれば現役を退いた人など、年齢も競技実績もばらばらだが、長年ソフトボールに携わってきた「恩返し」という思いから、縁の下の力持ちになってくれている。気がかりなのは、競技種目の分散化や趣味・娯楽の多様化で愛好者が減っていることですね。

 ー少子化や時代の変化もあって、次世代の競技人口が減っている。すそ野を広げていくには。

 工藤 ソフトボールは高度成長期以降、野球やバレーボールなどと並ぶ生涯スポーツとして多くの人に親しまれてきました。小学生年代もひと昔前は子ども会単位で大会を開いたり、学校の授業で基礎を学んでクラスマッチで力を試すなど、活躍の場がいくつもあった。でも今はチーム数が減って指導者も少なくなった。歯止めをかけるために、まずはジュニア向けの体験会や教室を年間を通して実施していきたい。技術指導委員のもと、未経験の子どもたちにソフトボールの楽しさを知ってもらう。そこから徐々に基礎を覚えて自分に合ったポジションを見つけ、技量を高めていく。最初は勝ち負けではなく、仲間とのチームプレーの大切さを知ること。高学年になってレベルが上がれば競争力が芽生え、試合で活躍したいと思うはず。段階を踏んで育成し、新チームの立ち上げも視野に可愛い“仲間”を増やしていきたいですね。

昨年12月に行われた東海理化ソフトボール部による小中学生対象の技術指導講習会

昨年12月に行われた東海理化ソフトボール部による小中学生対象の技術指導講習会

 ーシニア層や主婦などスポーツから遠ざかっていた人が、心機一転「昔のように白球を追ってみたい」という人も多い。

 工藤 「チームに所属していないがやってみたい」「転勤でこの地に来たが、チームを探してほしい」という話はよく聞きます。まずは協会のホームページに入ってもらって活動場所や階級(レベル)を参考にチームを探してもらう。新加入を受け入れているか、一度見学したいといった問合せは協会が窓口になります。出会いの場を提供し、愛好者のお手伝いをしていくのも協会の役割ですから。そのためにはHPやブログをより充実させ、イベント情報、活動内容を積極的に発信していこうと思います。

 ー豊橋では毎年、国内最高峰のJD女子ソフトボールリーグが開催される。実業団のどんなプレーを観てもらいたい。

 工藤 やはり一投一打の躍動感が違います。鍛え上げたトップ選手のスピードやパワー、勝負への執念や心構えなど、間近で観ないとその臨場感は伝わりません。小中学生や高校生に足を運んでもらい、お姉さん選手の迫力を肌で感じてもらいたい。それが憧れや目標になってくれれば、と思っています。

出会いは一生の財産

 ー会長は第1種審判員免許を持ち、全国の主要大会をジャッジしてきた。試合に臨む上で大切なことは。

 工藤 試合を円滑に進めること、選手が安心してプレーに専念できる環境をつくることですね。試合中はつねに平常心で、どんなプレーやアクシデントにも冷静に対応しなくてはならない。自分の判定には自信と覚悟を持つこと。まだ女性審判員が少なかったころ「何だきょうは女の審判かぁ」と嫌そうな顔をされたことがあって、なめられてたまるかと思いましたね。選手と同じ目線で「努力は嘘をつかない」と、コール時の姿勢や声出しなど、勉強の毎日でした。最も印象に残っているのは愛知わかしゃち国体(平成6年)の成年女子決勝で主審を務めたときですね。常陸宮殿下が観戦に来られていて、緊張で足が震えたのを覚えています。派遣審判員として全国各地を訪れ、同じ志を持つ仲間と出会い、一緒にグラウンドに立てたことは一生の宝物ですね。

 ー改めてソフトボールの魅力を。

 工藤 勝敗が付く競技スポーツといっても、本来の目的はみんなで楽しむこと。好・珍プレーに一喜一憂し、それを肴に反省会で盛り上がる。仲間づくりや地域の親ぼくを深める“絆スポーツ”ではないでしょうか。

スピードとパワーが激突した国内最高峰の女子ソフトボールJDリーグ「東海理化ーSGホールディングス」戦(今月27日開催)

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