文武の道をスマートに自分らしく 日本拳法/春の全国高校選抜で「第1章」完結

 主戦場で拳が唸るー。時習館高校2年の後藤ひなのさん(17)=写真=が、3月に大阪で開催される日本拳法の全国高校選抜大会に出場する。学校部活で実力をつける選手が多い中、小学時代から通う道場から参戦。クラブ戦士の意地と誇りを見せる構えだ。各地の大会で戦績に厚みを加えてきたが、大学受験にシフトするため、この選抜を最後に一度防具を置く。学生日拳の集大成と位置づけ、8強入りを目指す。「稽古量の違いもあって厳しい戦いになると思うけど、挑戦者として強豪と向き合いたい」と静かな闘志を燃やす。

時習館高校2年後藤ひなのさん

時習館高校2年の後藤ひなのさん

小学4年で悲願の日本一

 勉学にスポーツ、趣味や習い事など、それぞれの「顔」を持って器用にこなす。好奇心と対話しながら自然体にこだわる。オリンピアンで高校の先輩にあたるマラソンの鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)もそうだった。芯が強く、ボーイッシュなショートヘアも似ている。

 日本拳法を始めたのは6歳のとき。2人の兄の影響で豊橋協会東部道場(春日町、森田芳弘代表)に通い、同世代の男子らと拳を交えた。「怖さはなかったですね。女子だから、という甘えは許されないし、負けたくないという反骨心の方が強かった」。当時は水泳やピアノ、書道教室にも通い、動と静のアクセルを巧みに切り替えてきた。ピアノは今も習っている。

 技の精度を上げて戦い方を覚えると、小学2年の全国デビューでいきなり準優勝。翌年も準優勝し、4年時は悲願の日本一を達成した。卓越したスピードと的確な蹴り、隙を逃さないカウンター攻撃、そして勝負勘など、総合力の高い次世代ホープとして期待が集まった。連勝街道の出発点だったが、コロナ禍で中止が続き、3年後にようやく全国大会再開。この間、バスケットボール(部活)との二刀流でエネルギーを蓄積。2、3年と2年連続3位で表彰台を堅守した。

後輩の活躍が刺激剤

 だが、高校入学後は納得いく結果を残せていない。一昨年は予選会となる県民大会二回戦敗退。昨年は全日本高校選手権に出場したものの、ベスト16でV戦線に絡めなかった。勉強や部活との兼ね合いで稽古時間が限られることもあるが、高校では面着用、投げ技有と試合のスタイルが変わり、順応するまでに時間がかかった。「やっぱり悔しいですよ。このままでは終われないな、と」。彼女に憧れて道場の門を叩き、背中を追ってきた金子音琉さん(豊岡中3年)は全日本総合個人戦で2連覇を達成した。「素直にうれしいですね。私も負けられないと刺激になります」

将来の夢は管理栄養士

 ゆっくりと言葉を選びながら丁寧に話す。目立つのが苦手な物静かな雰囲気。だが、防具を付けてスイッチが入ると表情が一変。鋭い眼光で相手と対峙し、空気を切るような気迫で技を繰り出す。理数系女子の夢は「管理栄養士になること」。このコントラストに周囲は驚く。

 信じた道を自分らしく。これまでも、これからもこのスタイルは変わらない。総決算大会まであと3カ月。「全力を出し切って日拳人生の『第1章』を終えたい」と拳に力をこめる。