女子国内最高峰/SVリーグで活躍 バレーは人生の道しるべ 豊橋中央高出身栗栖留生さん

SVリーガーとして活躍した栗栖留生さん
豊橋中央高出身栗栖留生さん 群馬グリーンウイングス今春退団
分岐点にはいつもバレーがあったー。女子バレーボールのSVリーグ・群馬グリーンウイングスで活躍した豊橋中央高出身の栗栖留生(るう)さん(27)=神野新田町=が2024/25シーズンを持って退団した
国内最高峰リーグで輝きを放ったが、度重なるケガの影響もあって4年間(5シーズン)の現役生活にピリオドを打った。ひと握りの栄光と数え切れない挫折と葛藤、人間関係で悩むこともあった。それでも「純粋にバレーボールが好きだったから」と、明るい性格そのままに下を向きことなく夢を追い続けた
今は実家に住所を戻し、違う視点からバレーボールと向き合う。「育ててもらった地元に恩返ししたいですね」。次世代に視線を向け、バレー人生の『第2幕』をスタートさせた。
栄光と挫折すべてが宝物
オールラウンダーの光る原石
身長159センチ。バレー選手としては小柄だが、身体能力は規格外。セッター、リベロ、アタッカーと、どのポジションも器用にこなすオールラウンダーだ。強心臓のガッツあふれるパワフルプレーは小学時代から「光る原石」と注目された。
母親の影響で兄、弟ときょうだい3人ともバレーボールに打ち込んだ。留生さんがコートに立ったのは、今もママさん選手として活動する母親の”お付き”だったゼロ歳から。小学1年で地域クラブに所属し、牟呂JVCでは攻守の要として試合を動かした。牟呂中時代は1年秋の新人戦からセンターで攻撃に参加。2年生で東海大会に出場し、3年時は全国都道府県対抗戦(ジュニアオリンピック)の県選抜メンバーに選出された。
「地元の高校でインハイや春高を狙いたい」と、兄も通っていた豊橋中央を選んだ。1年夏からメンバー入りし、主にセッターとして活躍。2年秋の新体制後はリベロに転向。3年時は主将としてチームを鼓舞した。1学年下には山田二千華選手(NECレッドロケッツ川崎)がいた。夏のインターハイは県2位代表で2度(1、3年)出場。春高予選は黄金期の岡崎学園に屈した。「バレーとの向き合い方や勝つ喜び、勝負の厳しさを叩き込まれました」。主将として叱られ役だったが「チームをまとめる難しさ学び、タフな精神力と人間力を育ててもらいました」

セッターとして攻撃を組み立てる栗栖さん
もっと自分を試したい
就職か進学か迷った時期もあるが、恩師の勧めもあって日本体育大学に進学。即戦力として期待される特待枠ではなく、ノンキャリアに近い推薦入部。特待選手とは実績もブランド力も大きな開きがあったが、有望株を押し退ける形で”掘り出し物(者)”が頭角を現し、2年生で公式戦デビュー。リベロとして関東1部リーグで存在感を放ち、4年生でインカレ(日本学生選手権)ベスト8に導いた。高校で戦術や組織プレーを学び、大学では自己プロデュースの大切さを知った。「もっと自分を試したい。プレーヤーとしての幅を広げたい」。卒業後の進路に迷いはなかった。
大学在学中の2020年12月にV.LEA
GUE2(V2)所属の群馬銀行グリーンウイングス(現群馬グリーンウイングス)に内定選手として加入、21年に正式入団。1年目の22/23シーズンからリベロとして持ち味を発揮し、2シーズン連続で準優勝に導くなど、チームを上昇気流に乗せた。その反射神経とスピードは”忍者”とも”サスケ”とも称された。
トップデビュー直後に
サッカーのJ1にあたるSV.リーグ初年度の24/25シーズンはセッター登録。開幕戦となるAstemoリヴァーレ茨城戦(10月14日)でスタメン出場し、トップリーグデビュー。だが、第3節のPFUブルーキャッツ石川かほく戦の試合中に負傷し、左アキレス腱断裂で全治6カ月の診断を受けた。シーズン序盤で戦列を離れ、コートに立てない悔しさが日を追うごとに増していった。「手応えを感じ始めた矢先だったので本当にショックでした」。高校2年の夏に右脚半月板を損傷したときは、3カ月のリハビリで翌年のインハイ予選に間に合わせた。だが、今回の怪我は復活までにかなりの歳月を要する。心の翼が閉じていくのが自分でも分かった。「引き際かな」。母親に相談すると「もったいない気もするけど、自分の人生だから自分で決めなさい」。悩んだ末に今年に入って現役引退を決意。5月31日にあったファン感謝祭で退団セレモニーも開かれ、多くの支持者を前に「皆様のおかげでバレーボールをここまで続けられたと思っています。またどこかでお会いしましょう」と、吹っ切れたように力強い言葉で感謝を口にした。
視点を変えて向き合う
地元に戻って1カ月。お世話になった人への挨拶回りや旧友との再会、母校訪問など、前橋ナンバーの愛車で飛び回る。空いた時間はネイルや編み物、さらに筋トレも趣味というから、自分磨きもオールラウンドだ。
頭に描くバレー未来図第2幕。キャストは子どもたち。「バレーボールを通して自立心や協調生、頑張る力や努力の大切さを育てていきたい。はじめの一歩は好きになることから」。持ち前の瞬発力をフル稼働させて、7月に小学生のクラブチームを立ち上げるという。「指導者として子どもたちと一緒に成長したい。プレーヤーとしてもまだまだ用途がありますよ」と笑う。「いろんな世代と交流し、バレーボールのすそ野を広げていくこと。それが私流の恩返しであり、育ててもらった使命だと思っています」と、瞳の奥に希望が映る。

球際の強さが光る粘りのレシーブ

ムードメーカーとしてチームを鼓舞

群馬銀行グリーンウイングスのチームメイトと
〈群馬グリーンウイングス〉
1975年に群馬銀行9人制バレーボール部として創部。2015年から6人制に移行し、15/16シーズンからV・チャレンジリーグⅡに参戦。V2リーグで2連覇を果たすなどの功績を残し、新リーグ「SV.LEAGUE(リーグ)」発足の24/25シーズンから同リーグ所属。日本代表らを擁するV1時代の強豪相手に下克上を狙っている。拠点は群馬県前橋市。