日本拳法 全日本総合選手権初優勝 豊岡中学校 金子音琉さん

日本拳法 全日本総合選手権初優勝 豊岡中学校 金子音琉さん
昨年の全日本総合で初優勝を飾った金子音琉さん=豊橋協会東部道場で

格闘スポーツの日本拳法は関西圏が最大勢力を誇るが、東三河地区も「西」に負けない〝日拳どころ〟として知られ、特に女子拳士の躍進が目覚ましい。豊岡中2年の金子音琉(めろる)さん、14歳。彼女は昨年の全日本拳法総合選手権で悲願の全国制覇を達成。2大会連続で準優勝に終わった悔しさをバネに、初めて日本一の称号を手にした。今後は追われる立場だが「技術的にも気持ちの面でもまだまだ挑戦者。課題を一つ一つ克服し、着実にスキルアップしていきたい」と、鋭い眼光で語る。

「3度目の正直」悲願の日本一

秒殺でタイトル奪取

昨年の全日本総合は9月に大阪市中央体育館で行われ、中学女子2年の部には地区予選を通過した17人がエントリー。金子さんは得意の面突きなどで順当に勝ち進み、準決勝で和歌山の選手に勝利すると、決勝は同じ愛知の上田選手と対戦。開始1秒で面直突き(左ストレート)で先取すると、その5秒後に胴突きが決まって2本勝ち。まさに電光石火の秒殺優勝だった。「3度目の正直」で初めて頂点に立った金子さんは「素直にうれしかったし、今まで経験したことのない達成感だった」。勝利を手にし、最初に駆け寄って来たのは、同学年で好敵手の尾前希愛(のあ)さん(昌義館、豊橋中部中)。意識し合うライバル関係で、親友でもある彼女からの「おめでとう」の祝福に「緊張から解放されて、心が癒されました」と、うれしそうに話す。


▲全国大会決勝で胴突きを決める金子さん(左)

目標からライバルへ

金子さんが日本拳法を始めたのは小学2年のとき。姉美風さんの友人の後藤ひなのさん(時習館1年)が全国チャンピオンになったことを知り「私たちも強くてカッコいい選手になりたい」と、姉妹揃って豊橋協会東部道場(春日町1、森田芳弘代表)の門を叩いた。週2回の稽古に加え、姉との自主練や大会前は出稽古で実力を試す。普段から男子とも拳を交えるが「怖いとか辛いと思ったことはない。みんな優しくて一生懸命だし、道場の雰囲気もいいから」。小学時は拳法のほかに珠算や習字、ミニバスケ教室に通い、バスケットボールは今も部活と地域クラブで存在感を放つ。そこから得た集中力や瞬発力、判断力、視野の広さなどが身体細胞の栄養源となり、拳法の伸びしろに直結する。

入門してしばらくは県予選敗退など結果が出なかったが、5年生で初めて県民大会(地区予選)で準優勝し、全国切符を手にした。だが、この年はコロナ禍の影響で大会中止。「(全国中止は)残念だったけど、予選突破は大きな自信になった。気持ちをリセットして前を向くことができました」

憧れていた後藤ひなのさんの背中を追い、ずっと格上だった尾前希愛さんの活躍をカンフル剤に技を磨いてきた。特に、つねに前を走る尾前さんの存在は大きかった。目標からライバルへ。互いに刺激を受けながら切磋琢磨し、2年前の全国大会では決勝で火花を散らした。「希愛ちゃんがいたから頑張ることができた。これからも一緒に女子拳法を盛りげていきたい」。今は何でも話せる友達であり同志だ。

狙うは全国大会2連覇

得意は長いリーチを生かした左直突きと右蹴り。当て勘が良く、相手との距離を見切って多彩な技を繰り出す。普段は右構えの戦術だが、相手の動きや試合展開によってサウスポースタイルにスイッチし、意表を突く連続技やカウンター攻撃を仕掛ける。性格は「頑固で負けず嫌い」と自己分析。指導する森田代表は「稽古熱心で技の吸収も速い。さらに高みを目指して精進してほしい」と期待する。

中学総決算となる7年度は「狙うはもちろん全国大会2連覇」。勝利にこだわる理由は「支えてくれる人への恩返しになるかなと思って」と笑顔をつくる。

カメラに向かって前蹴りを見せる金子音琉さん

日本拳法中部日本本部 日本拳法豊橋協会