頂き見据える次世代スプリンター 高豊中出身 布施一葉さん
高校陸上界のホープ、中京大中京高1年の布施一葉さん(16)=富士見台=の“脚”が止まらない。高豊中時代に200mで日本一に輝き、昨年も大舞台で記録と記憶を残した。全国を主戦場に重圧のかかるレースが続くが「陸上と向き合っている時間が好きだし、自分自身も成長できていると思う。練習は大変だけど楽しいですよ」と、かけっこが好きな少女のような笑顔で話す。
中学、高校で2度の日本一
リレーでU‒18日本新
高校入学後、まずは進化の夏から。東海総体200mを24秒40の2位で通過すると、北九州総体(インターハイ)決勝は24秒54で7位。「準決勝に速い選手が揃っていて組2着。全体の2位通過(24秒04)だったので、メダルを狙いにいったのですが。入賞の喜びより悔しさの方が大きかったですね」。4×100mリレーは3走を担当。準決勝46秒00(組1着)、決勝45秒75で2年ぶり4度目の日本一に貢献した。「(怪我で)地区大会に出ていなかったので、チームに迷惑をかけられないという重圧があった。うまくバトンが繋がって『ひと安心』というのが素直な感想です」。

インターハイ200mでスプリント力を発揮
自身2度目の日本一を経験し、季節は躍進の秋へ。佐賀県で開催された国民スポーツ大会には少年女子B100mと成年少年女子共通4×100mリレーに出場。個人の100mは決勝12秒05で5位。4×100mリレー準決は1走を担当して組2着。決勝はアンカーを務めて5位(45秒21)だった。カテゴリーのない共通競技。「各県を代表するトップ選手と肩を並べることができてうれしかった」と振り返る。
圧巻は11月に静岡であったエコパトラックゲームズでの女子4×100mリレー。タイムレース決勝で行われ、中京大中京は日本インカレを制した甲南大と同じ組で、甲南大が45秒08の大会新で優勝。2着フィニッシュの中京大中京は45秒78をマークし、U18日本新記録を樹立。2年生3人と布施さん(3走)のオーダーで新たな歴史を刻んだ。また、8月にあった東海選手権200mではシーズンベスト(当時)の24秒01を叩き出した。これは高校1年区分の日本歴代3位の記録だ。

インターハイ4×100mリレー決勝。アンカーにバトンを渡す3走の布施さん
「インハイ2冠」で飛躍の年に
「周りの環境に育ててもらっています」。中学時代、高校生との合同記録会で4つ上の先輩にあたる藏重みう選手(現甲南大2年)の走りにあこがれ、中京大中京を選んだ。自宅通学で起床は毎朝5時30分。電車を乗り継いで学校に向かい、帰宅は9時過ぎ。部活時間は中学時とさほど変わらないが、質と内容重視の練習メニューは疲労度が違う。集中力を切らせばタイムに直結し、競争相手でもあるチームメイトに隙を与えることになる。「互いに刺激し合い、レースを想定しながらいい緊張感の中で(練習に)取り組めています」。陸上スイッチをOFFにしたときのリフレッシュ法は「友だちと冗談を言い合っているときですね」。クラスには野球や水泳、スケートなど国内屈指の注目選手が集まり、〝本業〟の違う者同士が夢や将来設計を語り、喜びや悩みを打ち明けながら心を通わせる。そんな友だちとの会話の中で気付き、実践しているものがある。それは有言実行。目標を口にして自分にプレッシャーをかけることで競技への向き合い方も変わってきた。
今年の目標は「インターハイの200mとリレーで2冠を獲ること。特に200mは高校(2年)歴代3位の23秒65を切りたい。日本選手権も狙います」と言葉に力をこめる。目標とするアスリートは「陸上クラブの大先輩でもある鈴木亜由子選手」。小さな身体に大きなエンジンを搭載した〝努力の天才〟の後を必死に追走する。