東海総体V/全中バレー出場 自分と仲間信じ、全国舞台で躍動
「全国を経験して、また1つ宝物が増えました」ー。中学生女子バレーボールクラブのTOYO IRIS(中村光監督、森崎智美コーチ、以下アイリス)が先月、広島県で開催された全日本中学校バレーボール選手権に出場した。昨年は全国ヤングクラブ優勝大会ベスト8、今夏は東海チャンピオン、全中出場と、快速スピードで戦績を積み上げている。小柄な選手が多く、威圧感もなければ絶対的な大型スパイカーがいるわけでもない。それでも、地道な努力を土台に“叩き上げ”で思いを形にしてきた。
中学生女子バレーボールクラブ TOYO IRIS
堅い守備から流れをつくり、得点機を逃さない。サイズがない分、サーブで先手を取って相手のほころびを突くつなぎのバレー。これがアイリスの真骨頂だ。「派手さはなくても全国で戦えることを証明したい」を共通語に、高い山の麓(ふもと)から力強い一歩を踏み出した。
県総体への出場枠をかけた地域クラブ予選会。二回戦でVOLPEKONANに逆転勝ちして勢いに乗ると、決勝でSelecanとの「豊橋対決」を制し、まず第1関門突破。本戦となる県総体では部活チームを次々に撃破し、ここまでは描いたシナリオ通り。次が最終関門の東海総体。4県の代表16チームがトーナメント戦で全中切符3枚を争った。各県の1位代表を中心軸に実力伯仲の潰し合い。アイリスは二回戦で三重2位の海星に逆転勝ちすると、準決勝で静岡1位のSEIOHをフルセットで下して全中確定。決勝では本命不破を25ー23、25ー17のストレートで破った。「準々、準決は重圧との戦いだった。だが決勝はその緊張から解放されて、自分たちの持ち味を発揮することができた」と中村監督。





全国の強さ体感
全日本中学選手権には、豊橋に練習拠点を置く男子Salire Stars Toyohashi(今大会ベスト16=既報)と女子アイリスが東海地区1位代表として出場した。
アイリスは予選グループ第1戦で福島のSun ShieIVBCと対戦。25ー22で第1セットを奪ったものの、続く第2、3セットは守勢にまわって悔しい逆転負け。同第2戦はVigare大分とあたり、何通りもの戦術を駆使して接戦に持ち込んだが、前線に大型選手を揃える相手の強打と高いブロックの前に屈した。中村監督は「強化してきたサーブを起点に優位に進めたかったが、なかなか突破口を見出せなかった。1、2年生も積極的に起用し、経験を積ませた。緊張で泣き出しそうな子もいたが、全国の強さを体感して成長できたと思う。ここまで連れてきてくれた選手や関係者に感謝したい」。エースアタッカーの久保美響さんは「勝てなかった悔しさはあるけど、最後までみんなと泣き笑いの楽しいバレーができた」と充実感を口にする。次期主将でセッターの池田珠唯さんは「先輩たちが実践してきた最後まで諦めない粘りの全員バレーを受け継ぎ、来年はヤングクラブ、全中の2つの全国大会で結果を残したい」と意欲を燃やす。
仲間と手にした3つの宝物
主将の深津心彩さんは今夏を振り返り、生涯忘れることのない「3つの宝物」を手にしたという。まず1つは全国の強豪と戦えたこと。2つ目は目標に向かってブレずに努力してきたこと。そしてもう1つは「厳しい試合でも、自分と仲間を信じて勝ち切ることができたこと」
土俵際まで追い込まれた試合が東海総体で2度あった。海星戦はデュースとなった第1セットを落としたが、2セット目を2点差で取り、第3セットは終始攻勢に進めて逆転勝ちした。ここで1次加速。SEIOHとの準決は第1セットを27ー25で取って一歩リード。2セット目はサーブと緩急をつけた攻撃にリズムを崩され18ー25。振り出しに戻ったことで、気持ちの余裕も勢いもアドバンテージはSEIOHにある。第3セットは中盤まで一進一退で推移したものの、最終コーナーで前に出たのはSEIOH。セットカウント22ー24。あと1本で雌雄を決する。万事休すかと思われたが、ここで「女の一念岩をも徹(とお)す」である。耐えて粘ってデュースに持ち込むと、悲鳴と歓声が交錯する中、26ー26からエースが2本決め、大会史に残る激闘を制した。藤崎コーチは「選手たちの『信じる力』の凄さを改めて感じた。技術というより、勝ちたいという意地と執念が相手より強かったのだと思う」と勝因を分析する。
たどり着いた舞台は新鮮で驚きも多かった。開会式で整列すると、他チームの長身選手に囲まれて小柄な集団が目立った。経験したことのない独特な空気感に、足の震えが止まらない選手もいた。そんな名もなき初陣チームが、ホイッスルと同時にブランドチームに牙を剥き、蝶が舞うようにコートを飛び回った。
