中学生男子バレーボールクラブ Salire Stars Toyohashi 初の全国 強豪破ってベスト16
広島県・広島グリーンアリーナを主会場に開催された全日本中学校バレーボール選手権(全中バレー)男子の部で、東海ブロック1位代表のSalire Stars Toyohashi(以下サリーレ豊橋、磯村定孝代表、丸山陽平監督)がベスト16入りした。結成3年目の新興クラブが、歴史を重ねる強豪相手に臆することなく強打を打ち込み、大きな足跡を残した。「全国で戦えるチーム」を掲げて土台づくりから着手し、個々の潜在能力を引き出しながら実戦力を強化。下馬評を覆す勝利や屈辱的な敗戦を血肉に変換させながらアップデート。総決算の夏、当初目標の「全国出場」から「(全国で)勝てる軍団」にサリーレ(イタリア語で飛躍、上昇する)していった。
全日本中学校バレーボール選手権
まずは6月から始まった全中への道のりから。県総体への出場権をかけた地域クラブ予選会で力のあるAICHITAや鳴東バレーボールクラブをストレートで破り、ここで1次加速。本戦となる県総体では部活チームを次々に撃破。危なげない試合運びで本命Vを達成した。次が最後の関所となる東海総体。4県の代表16チームによるトーナメント戦で、全中切符は3枚。サリーレ豊橋はここでもストレート勝ちを重ね、決勝で修学舎(静岡1位)を26ー24、25ー16で下し、東海王者についた。ターニングポイントは4強決めの二回戦。優勝候補の一角藤枝リアンと対峙し、一進一退の我慢比べは2セットとも終盤までもつれたが、2点差で勝ち切った。ここで「勝つ難しさ」「1点の重み」を再確認した。県クラブ予選から東海決勝まで、相手に1セットも与えることなく新たな扉を開いた。


出鼻をくじかれた
全日本大会には男子36チームが出場。予選グループ後、上位27チームが決勝トーナメントで頂点を目指した。サリーレ豊橋は予選グループ第1試合で京都の山王BONDSと対戦。初の大舞台。熱気と緊張が交錯する独特の空気感に体が重く、本来のコンビバレーがうまく機能せず、守勢に回る時間帯が多かった。第1セットを19ー25で落とすと、2セット目も相手の勢いに押されて流れを変えることができず22ー25。出鼻をくじかれるストレート負けだった。もう後がない。生き残りをかけた同第2試合は福島の磯部クラブ。第1セット序盤はリードを許したが終盤捕まえ25ー22で先取。2セット目は終盤まで互角に推移。勝負どころの得点機を確実にものにし25ー23。ストレート勝ちで再び上昇気流に乗った。
決勝トーナメント一回戦は関東ブロック2位の足立区立渕江中学(東京)。第1セットは一進一退から中盤離され21ー25。第2セットを25ー20で取って振り出しに戻すと、第3セットは序盤から走った。セッターを起点に多彩な攻撃力と固いレシーブ力で優位に動かし25ー18。古豪相手に劇的な逆転勝ちだった。二回戦は高さと爆発力を誇る高川学園(山口)。第1セットは追う展開が続き、終盤粘って2点差まで詰めたが一歩及ばず22ー25。2セット目は流れが二転三転するがっぷり四つ。デュースにもつれる大接戦を28ー26で勝利。潮目が変わったかに見えたが、第3セットはこの日2度目のフルセットが脚を襲い、リズムをつかめないまま11ー25。熱くてドラマチックな夏が終わった。
敗戦からのスタート
「悲願だった全国のコートに立ち、粘り強く泥臭く戦ってくれた」と指導者たち。主力メンバーは1年時から中心選手として“場数”を踏んできた。上級生の格上クラブから洗礼を受け、戦う姿勢や闘争心を実戦の中で叩き込まれた。攻撃は枚数が揃っているが、好不調のある守備が大事な場面でアキレス腱になりかねない。サーブ、ブロックの精度アップとともにレシーブ力強化に時間を割いた。進化を続けながら戦績を積み上げてきたが、代替わりした最初の大会となる昨秋の県クラブ新人戦は初戦敗退。負けからのスタートだった。これが刺激剤になった。過信することなく地道に技術を磨き、勝負への意識向上、試合の入りや劣勢時の修正法、気持ちのコントロールなどを肌感覚で覚えていった。
発足時から選手の成長を見守ってきたクラブ代表の磯村定孝さんは「全中という大きな舞台で選手が活躍できたのも、保護者はじめ地域の方々の理解や応援のお陰。選手が伸び伸びプレーできる環境をつくってくれた多くの人に感謝したい」と語る。
今田圭一郎=アタッカー「どこもブロックが高かったが、強気で攻めることができた」
穂浪蒼登=ミドルブロッカー「上には上がいると感じた。大会を通して成長できたと思う」
満塩マテオ=レシーバー「声を出しでチームを盛り上げた。緊張したけど楽しかった」
大舞台で躍動、達成感の中に悔しさも
「強豪相手に一歩も引かず持ち味を発揮してくれた」ー。新興クラブを全国大会へ送り込んだ丸山陽平監督に聞く。
ー初めての全国大会でベスト16の快進撃だった。
丸山監督(以下監督) 磨いてきた技術や精神力を十分に発揮してくれた。合格点と言っていい。ただ、招待試合で互角に戦った相手が今回4強入りしたので、もう1つ壁を越えられたかな、という思いもある。満足感の中に悔しさも残る大会だった。
ー地区大会(予選会)はすべてストレート勝利。無敗の常勝チームとしてコートに立った。
監督 全国という舞台はスケールも雰囲気も違うし、過去の勝率など通用しない。初戦はその独特な空気感に飲まれ、攻守に後手に回ってしまった。だが、2戦目からは地に足のついた自分たちのプレーができた。予選無敗と言っても厳しい試合が多く、簡単には辿り着けなかった。そのことを思い出し、気持ちのスイッチが切り替わったのだと思う。
ー大会を通し、選手の成長を感じた点は。
監督 まず連続失点をしなくなった。守勢のときは選手同士で修正箇所を話し合い、好プレーが飛び出すとベンチを含めなみんなで喜びを共有し、勝ちパターンの雰囲気に持っていく。自分で考え、役割を理解し、先を読んだプレーができるようになった。この3年間で自主性と使命感が備わったと思う。
ーメンバーの3年生にはどんな言葉を。
監督 歩んできた栄光や挫折、そして全国大会で体感した1点の重み、勝利の喜びを心に刻み、実社会を含めあらゆる場面で「次にとる行動」を自ら考え、答えを導き出していってほしい。